住宅設計でよく使われるモジュールについて、住宅設計・施工に長年携わったsato_shigeが解説します。
マイホームを検討されている方必見!知っていると便利です!
住宅の設計図を見たことがありますか?
設計図見ると寸法線と言って、長さを表す数字が入っています。
色んな図面を見比べると、大体同じ数値が使われているのに気付きます。
そうなんです。
住宅の設計ではモジュールと言って、基準になる寸法があります。
そこで住宅設計のモジュールについてまとめました。
この記事で分かること!
- モジュールについて
- 住宅設計でよく使われる3つのモジュールについて
- それぞれのモジュールの良い所、悪い所
この記事を書いている人!
sato_shige
一級建築士・一級施工管理技士として長年に渡り住宅の設計、施工、一般建築物の施工に携わってます。
住宅設計でよく使われるモジュールとは?
モジュールとは、住宅設計で基準となる寸法です。
ここでは日本の場合で考えていきます。
日本で馴染みのあるモジュールと言えば、だいたい次の3つになります。
- 尺モジュール
- メーターモジュール
- インチモジュール
尺モジュール
尺モジュールは日本人にとって最も馴染み深く、住宅設計で一般的に用いられるモジュールです。
1尺=約303mm
1尺 (いっしゃく) | 約303mm |
3尺 (半間:はんげん) | 910mm |
6尺 (1間:いっけん) | 1,820mm |
住宅設計ではグリッド単位で間取りを考えることが多い。
尺モジュールだと1グリッドを910mmX910mmで設計していきます。
だいたい畳の短い方の長さとイメージしておけば大丈夫です。
また、部屋の大きさを畳数表示で6畳とかで表しますが、畳の大きさを基準にして6枚分とするとイメージし易いですね。
・関東間と関西間
関東間と関西間という言葉を聞いた方もいると思います。
他にも京間、中京間などがありますが、畳のサイズからきた用語です。
関東間と関西間などの詳細は別の機会にお話しします。
ここでは、関東間、関西間、中京間、団地間という用語があり、畳の大きさが違うということが分かれば大丈夫!
・尺モジュールの良い所
何と言っても長年に渡り設計され続けたモジュールなので建築材料が豊富にある。
さらに、材料コストが安い。
無駄な空間を作らずに自由な設計ができる。
設計の重度が高く、希望通りの間取りを作り易い。
・尺モジュールの悪い所
バリアフリー対応などで廊下幅や階段幅を大きく取ろうとすると、1/2グリッド(455mm)、1/4グリッド(227.5mm)を用いるなど設計の難易度が上がり、建築コストも上がる。
メーターモジュール
メーターモジュールもよく耳にすると思います。
メーターモジュールは1グリッドを1,000mmX1,000mmで設計します。
随分と前に住宅金融公庫のバリアフリー要件に対応するために、メーターモジュールの考え方が流行りました。
2022年現在、メーターモジュールを採用しているハウスメーカーは
- 積水ハウス
- トヨタホーム
- タマホーム
などです。
・メーターモジュールの良い所
バリアフリー対応が容易にできる。
1グリッドが1mなので感覚的に大きさをイメージし易い。
各部屋にゆとりがある。特に水まわりは動線に、各部屋は収納に優位性が出てくる。
・メーターモジュールの悪い所
ゆとりがある分、無駄な空間が出来易い。
尺モジュール用に供給される材料が多く、メーターモジュール用の材料はコストが高くなる。
床面積が大きくなり建築コストも高くなる。
設計難易度が高い。
(メーターモジュールを専門的に設計している建築士さんなら大丈夫!)
インチモジュール
インチモジュールは輸入住宅が流行った時に採用されたモジュールです。
1グリッドを1.218mで設計しますが、あまり浸透しなかったです。
わたしもインチモジュールを使ったことはありませんでした。
設計の難易度が高く、建築材料も輸入品となるため建築コストが為替レートに左右されます。
輸入住宅を専門的に扱うハウスメーカーや工務店にお願いすると他よりも安く購入できます。
・インチモジュールの良い所
円高になると安く買える。
周りの家と比べるとお洒落。
・インチモジュールの悪い所
輸入建材を使うため、メンテナンス費用が掛かる。
円安だと高くなる。
建材を安く買おうとすると船便になり工期(時間)がかかる。
まとめ
・住宅の設計で基本となるモジュールは次の3つ
尺モジュール | 910mm |
メーターモジュール | 1,000mm |
インチモジュール | 1,218mm |
- 日本でメジャーなのは尺モジュールであり、設計の自由度が高い。
- 尺モジュールは魅力的で希望の間取りを作り易い。
- バリアフリーやゆとり空間にはメーターモジュール。
- 為替レートに左右され易いが、周りとの差別化になる。
- それぞれのモジュールを扱う専門の設計士や工務店、ハウスメーカーにお願いすると良い。
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